2012-01-01から1年間の記事一覧

世界の終りと#FF0000の倫理――コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』

コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』を読んだ。この作品は(おそらくは核兵器で)滅びた世界において、父である「彼」とその子の「少年」が冬から逃れるため南の海へ向けて旅をする、ただそれだけの話である。しかし、だからこそ、心に響く。本稿は、作…

プレイヤーを殺すための物語――『White Album 2』

つらい、とてもつらい作品だった。死にたくなる。おかげで終わらせるまでに5ヶ月ほどかかってしまった。つらくてゲームを進められなくなった経験はこれが初めてだったのだけど、もう当分こんな経験はしたくない。しかしここまで死にたくさせる作品が素晴らし…

物語をひらく――『すぴぱら STORY#01 Spring Has Come!』

ちょこちょこ寝落ちを挟みながら丸一日程度で終了。感想ではあるかもしれないけどレビューではない。 公式サイトにはろくに情報出てないし体験版は本当に体験できるだけだし、何の話なのかもわからずほとんどOPのアリスが可愛かったから買ったようなものなの…

クラブの社会学・前哨戦

引きこもってて暇だしクラブについて「好きなもの研究」でもするかーってことでちょこちょこ文献読んでます。こんなことやってるよって報告と自分のための整理を兼ねて文献の感想をば。 増田聡、2005、『その音楽の〈作者〉とは誰か――リミックス・産業・著作…

境界線の物語――『はつゆきさくら』

序 私事で恐縮なのですが、私は高校を中退していまして、ついでに潜り込んだ大学でも留年がほぼ確定しており、その身からすると卒業をあの手この手で勧めてくるこの作品は体験版やってる最中から非常に死にたくさせてくれたのだけれど、でもそこそこ楽しそう…